セラ寺にも、現在使われている天葬場がある。山の裏側にあるので、寺から歩いて40分くらいだろうか。小さく細い道で、家族は死者をかついでてくてく歩いていかなければならない。外国人が行って大丈夫ときくと、ジューメイは、‘自分と一緒に行けば大丈夫だから心配するな。’と。彼も、天葬場を実際に見るのは初めてだと言う。私たちに、しきりに、‘怖くないか?’と聞いてくる。デリックが、自分は‘医者だし、解剖経験もあるから平気だ。’と言うと、‘そうか。勇気があるね。僕はちょっと怖いな。’と。お坊さんでも怖いのね。
奥に見える、白い建物が天葬場のあるところ。行ってみたら、死体のあとはひとかけらもなくすっきり片付いている。さっき見た、天葬台と同じだが、ところどころに白い粉(骨粉)が散らばっている。想像していた、スプラッターなイメージと全く違ってとても穏やかだ。あとで聞いた話だが、天葬はたいてい午前2時に始まるそう。私たちが行ったときは、すでに天葬は終わっていて、家族や友達が一緒に集まって、にこやかにお茶を飲んでいた。私たちが来てもイヤな顔ひとつせずに、‘タシデレー(こんにちは)’とあいさつしてくれた。天葬場に続く砂道には、脱ぎ捨てられた服(死者の着ていたもの)とところどころに白骨のかけらがあった。不思議なことに、怖いとは少しも思わなかった。
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